2010年11月2日火曜日

フラッシュマーケティングの注意事項

先回、フラッシュマーケティングの特徴をまとめました。
フラッシュマーケティング・サービスが日本に入ってきて半年が経ちましたが、事業会社があっという間に100社と増える一方、そのサービスの"諸刃の剣"とも言える問題点も顕在化しています。今回はこの問題点についてもまとめましたのでご覧ください。ちなみに前の記事はこちらです。こちらを目を通してから以下をご覧いただけますと幸いです。

■ 赤字になる可能性もある

50%以上の値引きは、当然供給元の利益も減ることになります。
特に飲食店の場合は、この値引きだけだと赤字になる場合が多いようです。飲食店の算盤としては、発行したクーポンで入店していただくことで、

・サービス・商品の良さを知ってもらい次回の入店につなげること
・クーポン以外の商品を購入していただくこと

飲食店の場合、クーポンだけでは赤字になるケースがあるので利益率が高い飲み物などを追加オーダーして欲しいのですが、クーポンの商品だけ注文して帰ってしまうケースが間々あるようです。ですので、お店も提供する事業会社も赤字は覚悟すること。その上で、次回のリピーターにつなげるためのマーケティング戦略も必要だと思います。安さでご来店いただき、お土産にはそのお店のクオリティーを持ち帰ってもらい、そのクオリティーを広めてもらう(スマートフォン×ソーシャルメディア)。体験を売る、評判を買うというのも一つの考え方かと。

■ ブランドの毀損

これは友人に聞いた話。
東京の名所にある有名ホテルは、ランチでフラッシュマーケティングの複数媒体を使い三日間にわたって格安のクーポンを出稿したそうです。有名ホテルのランチが半額以下で食せるということで評判になったようです。ですが、お得感の反面、

「あのホテルってこんなに安くできるんだ」

という意識もユーザーに植え付けたのも事実。ブランドがあり、お客さんも来ているお店はこのサービスは使わないほうが良いかもしれません。使うにしてもお客さんが来ない時期に使えるという条件付き(一休方式)。また、チケットを発行するの2~3か月と期間をおいて行うこと。特別感を出し、体験を売りリピーターにつなげる仕掛けも考えます。

■ 口コミに注意

フラッシュマーケティングのクーポンを利用する人は、インターネットを通じてクーポンを購入するのである程度インターネットに精通していることが想定されます。当然、クーポンのサービスの内容はネットでさらされるということも想定しなくてはなりません。

例えば、一か月前にこういった記事を拝見しました。

【通常4800円⇒999円】のクーポンを利用して残念感

このクーポンの内容・価格設定、メニューの内容はお店側か、事業会社の提案か分かりませんが、お客様が残念に思ったのは事実です。事業提供側からすると、これだけ値引いてやっているんだからという意識はどうしても出てしまうかもしれません。ただ、お客様は値引きされていても品質の高さは求めます。おそらく、このフラッシュマーケティングの一つの特徴は、経験を売ることだと思いますので、サービスの提供元としては普段以上の心構えでお客様に臨む必要はあると思います。


ちなみに飲食会社から見たフラッシュマーケティングについての意見はこちらを参考にしてください。Groupon型サービスについて考えてみた(その2)
 ちなみにこのブログの作者である中村仁さんが経営されている豚組は飲食業の中でツイッターを「おもてなし」に活用されている会社です。興味がある方は小さなお店のツイッター繁盛論お客様との絆を生む140文字の力をご一読ください。

フラッシュマーケティングは、ソーシャルコマースという分野に含まれるそうです。
ソーシャルコマースはソーシャルメディア内の人と人、人と物とのつながり(ソーシャルグラフ)から、うまく商品やサービスを伝播させるEC上の商法。とくにフラッシュマーケティングの圧倒的な値引き率と、販売期間・販売枚数などの限定条件は、ユーザーにはインパクトが強いのでスマートフォン×ソーシャルメディア上に構築されたそれぞれのソーシャルグラフ上に伝播しやすいです。

お店としては同じソーシャルグラフ上にお店の良い評判を載せてもらうことを目的にしたらどうでしょう。
Aさんはクーポンの情報をツイートした、Aさんのソーシャルグラフ上にお得なクーポンの情報が流れる、Aさんはクーポンを通じてお得な価格で良い経験をした、その経験をツイッターを通じて自分のソーシャルグラフに流す。ソーシャルグラフで通じている人にそのお店の良い評判が流れる。

根本にはお店のクオリティーの高さ、姿勢があると思います。
このフラッシュマーケティングのクーポンの諸刃の剣たる特徴を理解し、お店も事業提供会社も世の人々に良い経験を流通させていただければと思います。その経験がお店にいつか帰ってくるはずですから。

4 件のコメント:

  1. @kiyotchiです。

    場合によっては、かなりの枚数出してるところがありますから、正直大丈夫かなとは思いますし、定期的にグルーポン系のサイトに現れるところもあって、それがおっしゃるブランド力の低下ですよね。

    客寄せパンダは商売には必須アイテムですが、すでにグルーポン系という麻薬にとりつかれている店も現れていると感じています。

    基本的に顧客引導のマーケティング手法なので、店側には、その分高いマーケティング能力というか経営能力というか、そういったものが必要になるのは確かですね。

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  2. ありがとうございます。

    クーポンの乱発もその先に何か思い描いている絵があるのなら良いと思うのですが、傍から見ているとブランドの低下は否めませんね。

    ちなみにエステなんかは所謂無料体験サービスに+アルファしたサービスをクーポンに載せているところもあるとか。身体に密着していて、女性の美→こころに関係するサービスは食よりも利益面含めて有効に使えるのかもと思ったり。

    個人的にはこれらのサービス、どうECにも展開されるかというところ。多分、要素的にはECにも使える点は多いと思いますがいかがでしょうか。

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  3. @kiyotchiです

    私もECで何かできないかEC専業のPGとして考えているところです。

    現在日本のECは、どこにでもあるものを売るところが安売り合戦に飲み込まれているのと、逆に高級なものを定価販売だけをおこなっているところの二極化になっていて、中庸というのがない状況になっています。

    この辺に一石を投じる可能性はありますが、一つの問題として、楽○の間違ったマーケティングが広がりすぎており、あまりにも消費者主導になっている感が否めません。(これはECに携わる者としてしての実感ですが)

    ここにさらに、グルーポンのような消費者主導マーケティングの媒体が乗っかってしまうと、EC運営者が経験したことのないリスクを背負う結果にもなりかねないとも思っています。


    消費者のリテラシーが育つのがベストですが、それは残念ながら今の日本では到底見込めません。

    ですので、
    ・通常販売価格に無理のない店舗
    ・既存ASPなどに頼らない柔軟なシステムを利用している店舗
    ・実店舗の店長やマネージャー並の対応能力のあるスタッフのいる店舗
    というのが、導入できるひとつの指標なのかなと個人的には思っています。

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  4. お返事ありがとうございます。

    EC業界も大変ですね。僕も楽天には疑問を持っているところがあります。また、ご指摘のように仮想店舗といえども管理人の対応力は大きなポイントかと思っております。ECの会社の中では、店舗の管理とかSP代行も行い、代わりに利益のいくらかをもらうような会社もあるようですが。FCに近いですね。

    先日読んだ本にソーシャルメディア維新 ~フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図~という本があります。その中でソーシャルコマースという分野の内容が紹介されています。グルーポン他類似サービスの紹介やアマゾン各社の対応についても書かれてますので参考になるのでは?私には難しすぎて消化できていませんが。

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